超高音用スピーカーはスーパートゥーイーターとも呼ばれ、20000Hz以上の可聴帯域外の超高音域の再生を目標としています。192kHzハイサンプリングのデジタルオーディオ再生や20000Hzまでの可聴帯域を高調波歪みを少なく再生するために、60000Hz以上の高い周波数まで再生できることが求められています。今日では、次世代の高品位オーディオの高域再生限界周波数100kHzを目標として掲げています(ADA懇話会)。
100kHzは、人間の可聴周波数範囲から大幅に離れた超音波領域が対象であり、再生するソースとして、楽器の音色を形成する高調波成分がこの領域まで存在しているのか否か確認する必要があります。無響室内で測定した楽器の分析結果では、大部分のデータから80kHz以上の成分の存在が確認されています。ハイハットやタンバリンなどの金属音には多くの倍音が含まれており、50kHz以上でハイハットでも20kHzをピークにして50kHでも50dB、タンバリンにおいては20kHzをピークに100kHz付近までほぼ一定の倍音があり、100kHzでも60dB付近を示しました。スペクトラムを見る限り、100kHz以上の倍音も十分に持っていそうです。弦楽器でもバイオリンの倍音は50kHzまで確認されています。金属音程ではありませんが、20kHzで70dB、50kHzになるとほぼ0dBに近い値をしめします。このように、楽器音にも50kHzオーバーの倍音が存在します。したがって、100kHzまでの再生周波数帯域で再生音が雑音の中に埋没しないようにS/N比良く再生できることが必要となります。
波長の短い超高音域では、指向性特性を考えると振動板の振動半径は小さい方が良く、振動板計上そのものをどう設計するのかということも重要です。水平指向性垂直指向性を同等に考えるか、一方の水平面を優先するかで短冊形振動板形にするか、ドーム形振動版が変わってきます。複合形システムでは全体の指向特性は同等の指向性を得られるように考えられてきました。超高音用においても、水平、垂直両方同等の指向性特性になるように検討されています。