スピーカーシステムを部屋に設置する場合、壁面から離して聴取位置までの距離を考え、聴取位置の方向にスピーカー正面の基本軸を向けるのが設置条件の1つです。これはスピーカーの指向性に左右されず、正面軸上の特性が一番良いとされているためで、聴取位置に直接音が一番最初に到達するような配慮も含まれています。
スピーカーと聴取位置との距離は、部屋の広さにも寄りますが、標準的には2.5~3m程度の距離感覚を取る場合が良い条件とされています。これは、再生周波数特性やダイナミックレンジなどに起因する音質の問題と違って、時間領域の問題として、部屋の周辺で反射した音が聴取位置に時間が遅れて到達することにより、音の明瞭度が悪くなったり、残響感を伴って聞こえたりするためです。
スピーカーの再生では、「残響時間周波数特性」が聴取にあたって音質面に影響を与えます。少し広い30~45㎡の部屋でも残響時間0.4secが目安とされており、初期反射音を適度に残して音響処理をすることが望まれます。また、映像を伴うAV用ではもっと短い時間が良いと言われています。
一方、初期の反射音による豊かさは、無指向性スピーカーのように積極的に反射音を作って音場感を出す場合と、ホーン形のような指向性スピーカーで、反射音を避けて直接音によるメリハリのある音にする場合とでは再生される音質に違いが大きく、好みの問題が出てきます。JBLのスピーカーを買う際は、聴取距離の長短や部屋の広さと音響条件によってスピーカーの選定をテストできる環境がベストです。
直接音の到来から20ms以内の初期反射音「1次反射音」といい、スピーカー再生音質に影響を与えるため重要視されます。防止策としては、聴取距離までの間の床面の反射やテーブル面の反射など、直接音に近い距離の反射音を吸音処理や拡散処理させる対策が必要です。聴取距離が長くなると直接音は距離の二乗に反比例して弱くなり、初期反射音や拡散音が増加し音の明瞭度が悪くなりがちです。最適な聴衆距離の範囲の目安として、直接音に拡散音が3dB程度加わった距離を限界の目安とするのが良いでしょう。