スピーカーシステムはスピーカーユニットと低音再生に相応しいエンクロージャーを組み合わせて、低音から高音までの可聴周波数帯域を再生できるようにした電気音響変換装置といえます。したがって、入力端子に信号を加えることにより、音楽鑑賞に相応しい高品位な音を再生し、スピーカーとしての総合的な性能を発揮するとともに、ユニット間の相性や音色のバランスをとって、「音創り」の出来上がった完成品となっていなければなりません。

JBLスピーカーユニットは、優れた性能や特徴を引き出しながら、いろいろな組み合わせ技術を駆使して相乗効果を生み出し、総合性能を一段と向上させ完成させる「スピーカーシステム技術」があります。これは、「スピーカーユニット技術」と区別されて重要なところです。

 たとえば、スピーカーユニットの組み合わせ1つとっても、どのように組み合わせるのかということでスピーカーシステムをまとめるには、その狙いによっていろいろな手順があり、容易なものから困難なものまで多種多様です。その一例としては。

  1. 評価の高い中音専用を中心にまとめる
  2. 低音の豊かさを狙った2ウェイにまとめる
  3. デザインの優れたものを具現化したい
  4. 超広帯域な特性を狙ってまとめる
  5. 指向特性を重視したシステムにまとめる
  6. AV用の再生に適したシステムにまとめる

などいろいろ設計思想の異なったスピーカーシステムがあります。個々人の趣向に応じてそれを具現化できるスピーカーのラインナップをJBLは持っていると言えるでしょう。

 このスピーカーシステム技術の進展は、戦後、ダイナミックスピーカーユニットの生産・販売が開始したものの、スピーカーシステムをまとめる技術や音作りの技術を育成する市場がなく停滞しているなかで、LPレコードの発売がありました。その時Hi-Fi再生熱が高性能オーディオ再生機器の需要につながり、1955年頃からやっとスピーカーシステムが登場してきました。この間に海外製品のスピーカーシステム造りはどんどん進展し、わが国のシステム造りの技術は大きく引き離されていました。しかしその後、現在では世界市場でも話題となる製品を次々に発表しています。