ホーン形スピーカーはコーン形やドーム形スピーカーのように、振動版から直接空間に音を放射する「直接放射形スピーカー」と異なります。ホーン形スピーカーの動作は、振動板によってホーン喉元の空気に速度を与えると、音波はホーンの軸に垂直な任意の平面上でほぼ同位相で伝わり、ホーン開口部では平面波に近い状態で音が放射されます。このため、ホーンとして動作している周波数範囲では指向性が強く、球面波のように音が広がらないためその分効率は高くなります。

 

 ダイアフラムの材料としては、ホーンによる音響負荷の大きい中でピストン振動できる剛性が必要で、主なものとしてはフェノールレジン、アルミ合金、チタン、ベリリウムなどが使われています。ホーンの特性は、ホーンロートの部分から管内部の断面積が徐々に変化する曲線の違いで特性は異なります。

 

 最近のホーン形スピーカーの形態がいろいろあるのは、主として指向周波数特性の改善のためのものが多く、フラットな指向角度特性を狙った「定指向性ホーン」等が使用されています。この場合、定指向性ホーンによる高音特性の低下は、電気的にイコライジングすることによりフラットな周波数特性を持ちます。

 

 ホーン形スピーカーは磁気回路を伴う振動板(ダイアフラム)部分のドライバーユニットと、音響管であるホーン部分の2つの部分から構成され、ダイアフラムとホーンの結合部分のスロート(喉の部分)は面積的に変えて、音響トランス(音響変成器)を形成し、ダイアフラムから見た放射インピーダンスの整合を行っています。この絞り比は高い方が望ましいのですが、JBLでは5~10の間に選ばれています。

 

 また、高い周波数では、ダイアフラム各部分からの音がホーンスロートに到達する距離差が位相的に干渉しやすいため、音の位相を調整する位相等価器(フェイジングプラグ、イコライザー)を設けています。この位相等価器の設置構造によりドライバーユニットにはフロント型とリア型の2つがあります。高音専用の場合はフロント形が多く、中音域を受け持つ入力の大きいドライバーユニットではリア形が多く採用されています。

 

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