JBLの主力製品であるスタジオモニターの一部の製品は「カリフォルニア・ブルー」と通称されています。スピーカーの前面、サランネットを外すと見えるバッフル板に塗られた独特の青、やや灰色がかった青色からそう呼びます。色は「JBLブルー」とも呼ばれますが、JBLの本社がカリフォルニア州にあることからカリフォルニア・ブルーと名付けられました。JBLのファンは愛着を込めてスタジオモニターそのものを「カリフォルニア・ブルー」と呼ぶようになったのです。

 

JBLの青いバッフル板は「ブルーバッフル」と呼ばれることもあります。スピーカーが固定されているバッフル板は、ただスピーカーを取り付けるだけではなく、エンクロージャー内部の音の干渉を防ぐ役割を担う、スピーカーユニットの重要な一部です。バッフル板の形、厚み、材質はスピーカーユニットの設計で重視されるパーツです。

 

どういう目的でバッフル板に色を塗るようになったかはわかりません。バッフル板に装飾のための色を塗ったのはJBLがはじめてですし、今もほかに例がありません。

 

ブルーバッフルはJBLの本格的なスタジオモニターの初号機、4310、4320から採用されました。当時は明灰色とカリフォルニア・ブルーの2種類のバッフル板のスタジオモニターが販売されていました。並んで展示された両者では、カリフォルニア・ブルーのスタジオモニターが圧倒的な人気でした。最近のJBLファンは以前ほどブルーバッフルにこだわらなくなったようですが、原稿機種のスタジオモニターにもブルーバッフルは受け継がれています。

 

色を塗ってもバッフル板の効果には良い影響も悪い影響もありません。またサランネットは装着しても外しても、音質にはまったく影響しません。実効的な意味がないなら、スピーカーユニットの保護のためにネットを装着するのが正当な使用法です。実際、スタジオでも家庭でも、ネットを装着しているのがほとんどでした。

 

結局、カリフォルニアブルーには見た目以外の意味はありません。しかし専用の補修用塗料が売られるほど根強い人気があるのです。

 

今も昔もJBLのスタジオモニターを持つことはステイタスです。時々ネットをはずしてカリフォルニアブルーを眺めることは、JBLオーナーの密かな楽しみでした。

 

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