4310、4320以後、JBLは改良を続けながら多くのスタジオモニターを世に出していきます。最新の製品は型番4429。ミドルサイズのモニターです。キャビネットは天然の木ウォールナット仕上げで、スタジオよりもむしろ居間に置く方がふさわしいスタジオモニターです。プロユースのスピーカーもホームユースのスピーカーも、基本的な性格、設計は変えないのがJBLの方針だと言われています。
また最近のJBLのスピーカーは昔ほどクセがなくなり、使いやすくなったとも言われます。以前のJBLのスピーカーを家庭用のリスニングスピーカーとして使いこなすには、かなりの努力が必要でした。そうした困難が最近のJBLには無くなったとも言われています。
2006年、JBLは創業60周年を迎えました。それを記念したフラグシップ・モデル、「Projyect EVEREST DD6600」を発売します。JBLの、久々のホームユースの高級モデルです。
JBL自身のカテゴライズによると、フロア型、ブックシェルフ型、モニター・スピーカー、カーオーディオ用、iPhone用など、生産、販売するスピーカーの分野は13に広がっています。
現在、世界の映画館の75パーセントがJBLのスピーカーを使用しています。そのJBLのスピーカーを、観客が目にすることはありません。銀幕の後ろにあるか、壁や天井に埋め込まれています。銀幕をはずしたステージを見ることができたら、大型の映画館なら人間の身長の2倍、3倍のJBLのスピーカーが置かれてたり、何台ものJBLが壁に埋め込まれた光景を見ることになります。
映画館の音響装置はJBL本体ではなく,別会社の『JBL Professional』が手がけます。ジェームス・B・ランシングが会社を興したのは、当時は唯一の放送メディアだったラジオ用スピーカーを作るためでしたが、やがてトーキー映画用のスピーカーの開発に取り組みます。そこでアイデアと技術を磨いていきました。映画館のスピーカーこそ、ジェームス・B・ランシングと、JBLというスピーカーのメーカーの出発点でした。