スピーカーシステムを作るには、どのように使用するのか、用途や狙いが大切です。これに応じて、スピーカーシステムの基本的構成を考えなければなりません。

 構成としては、単一コーン形や同軸形のような全帯域スピーカーを使用するか、帯域を限定した低音専用、中高音専用スピーカーなどを使用して、2ウェイ方式や3ウェイ方式の複合系スピーカー構成する方法などがあり、そのユニットの選定が一番重要です。そして、これを収容するエンクロージャーは、方法と形状により外観と設置条件を支配し、システム全体の容積や性能の概要を決める重要な構成部品となります。

 さらに、内部に複合系の場合はデバイディングネットワークやプロテクター、専用の内臓アンプなどいろいろな部品で構成され、その組み合わせのグレードによって、JBLでも低額品から高額品まで非常に幅広いスピーカーシステムが誕生します。

 基本構成の原点は、再生周波数帯域の拡大を狙った設計思想の違いや、使用目的や用途に応じたまとめ方にあり、技術的内容からみて次の項目が考えられます。

  1. 低音ユニットとエンクロージャーの組み合わせ

低音再生のスピーカーはエンクロージャーを必要とし、組み合わせによって違いがあります。システム構成の基本となります。

  1. 再生帯域幅の拡大と複合方式

高品位再生では可聴周波数帯域を十分カバーできる再生帯域が望まれるため、専用スピーカーによる複合方式が使用されています。

  1. 使用目的と指向感度特性

PA(一般拡声)やSR(音響補強)などのように多くの大衆を聴取者として聴取距離が長い場合と、居住空間で特定の人を聴取者として比較的近距離の場合ではスピーカーシステムの基本構成は変わってきます。この場合、指向感度特性は、前者はシャープで定指向性に、後者はブロードで無指向性に近いものが望まれます。したがって使用するスピーカーユニットやエンクロージャーの選定から異なってきます。

  1. 最大音圧レベルと耐久性

プロの音楽録音ミキサーや試聴室を持った高級オーディオ愛好家の中には、かなり高い聴取レベルで聞く場合が多く、スピーカーシステムとしてこれに対応した最大音圧レベルが得られる入力と能率を確保することと、この連続使用に耐える耐久性が求められます。