広帯域で優れた周波数レスポンスを得るためには、スピーカーシステムの複合化が有利で、各スピーカーユニットをどのようにつなぎあわせてまとめるか、その課題はクロスオーバー周波数の設定にかかっています。JBLでも多くラインナップのある2ウェイと3ウェイについてご説明します。

2ウェイ方式の場合、低音専用スピーカーと高音専用スピーカーの両スピーカーの性能を考慮し、組み合わせ後の指向感度特性や歪み特性などを考慮してクロスオーバー周波数の設定をしなければなりません。基本的には低音専用スピーカーのピストン振動領域の良好な特性部分を使用し、高音専用スピーカーにつなぐのが良いとされています。しかし、高音専用スピーカーは低い周波数に弱く、できるだけ高い周波数でクロスすることを望む製品が多くあります。

 これが3ウェイ方式となるともっと複雑で、使用するスピーカーユニットの特性によって大きく変わってきます。たとえば、中音専用スピーカー帯域を広く使用したシステムでは、低音側と高音側のクロスオーバー周波数は低めと高めになり、総合的な指向感度特性は良くない傾向にあります。逆に中音専用スピーカーが入力的に弱く、広い帯域が使用できない場合は、やや2ウェイ的な接近したクロスオーバー周波数を設定することになります。

 一般的な3ウェイの構成では、耐入力の関係から低音専用スピーカーの帯域を4オクターブ以上広く選び、中音専用、高音専用のスピーカーは2オクターブ程度の受け持ち帯域のものが多く見られます。

 4ウェイ方式になると中低音専用(ミッドバス)スピーカーが加わり、本格的な構成では、クロスオーバー周波数を低く設定するため、バックチャンバーの容量も大きくなり、エンクロージャーも大型化してきます。

このようにクロスオーバー周波数の設定は、スピーカーシステムの他の性能を大きく支配し、その善し悪しが全体に大きく影響を与えます。デバイディングネットワークやマルチチャンネルアンプ方式等を考慮に入れながら、最適化を図っていく必要があるかもしれません。

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