スピーカーユニットで水平面、垂直面など前方向(4π空間)に音を放射する無指向性スピーカーは、一般には球形バッフルや音を拡散する反射板を利用して、通常のスピーカーユニットを使用して無指向性スピーカーシステムにまとめる場合が多いといえます。

 

JBLの無指向性スピーカーの音放射は、1点の中心より音が放射状に広がっていくような傾向になります。このため、スピーカーを部屋に設置した場合、聴取者に届く直接音以外に側面や後面に放射された音が壁や天井、床などいろいろな面に反射して音が届きます。この反射音は部屋の音響的な性質を表しやすくなっています。このため、このスピーカーを利用してホールや部屋の音響測定の音源用としても使用することがあります。

 

再生用としてはソースに含まれる残響音以上に部屋の反射音を強調して音情感豊かに再現し魅力的な音場が得られるため、ステレオ再生の1つの方法として、このスピーカーシステムの存在があります。これまでは、リヤ用サラウンドスピーカーや音環境用スピーカーなどに使用された実績が多くあります。全方向無指向性を狙ったスピーカーシステムは球形エンクロージャーや、球形に内接する正多面体の各面に同種類の小口径スピーカーを分散配置したものがあります。

 

一方、水平面内の無指向性を狙ったスピーカーシステムは、聴取位置からみて垂直面よりも水平面の指向性を改善して音場感や広がり感を出すスピーカー構成が大部分で、これには2種類の方法があります。

 

1つはエンクロージャーの正面以外に側面、裏面にもスピーカーを配置し4面から音を放射するものや、正面と裏面の2面から音放射するシステムがあります。もう1つの方式は、スピーカーの音軸上に球形や円錐形の形をして反射板を設けて、音を放射状に拡散する方法があります。中にはこの両方式を組み合わせてシステムとしてまとめたものもあります。近年の住宅はリビングルームが広くなったことにより、この無指向性スピーカーを立てておく、といった利用法が増えています。

 

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