かつて、JBLのスピーカーは高値の花というよりも、あこがれの対象で終わるものでした。スタジオモニターの4310が日本で販売が開始されたのが1971年ですが、価格は1台17万5000円でした。ペアだと35万円です。当時の大卒初任給が5万円くらいですから、その7ヶ月分になります。それが日本で入手できるもっとも安価なJBLのスピーカーでした。

 

当時は山水電気がJBLの日本総代理店で、山水を通して日JBLの全製品を購入することができました。最上位機「パラゴン」は約160万円、大卒初任給の32ヶ月分です。「オリンパス」は同じ時期で1台43万円、1ペアで86万円しました。

 

「パラゴン」は本国アメリカでは約1、800ドルで販売されていました。当時の円・ドル為替レートは1ドル308円ですから、日本円に換算すると55万円ほど。これに関税と諸経費を加えても、160万円は高すぎるという非難を山水電気は浴びました。

 

そういう批判に応えるためか、山水電気は輸入したJBLのスピーカーユニットを国内でキャビネットに組み込んだスピーカー、「SP−LE8T」を1973年に発売します。それでも1台の値段は約6万円、大卒初任給1ヶ月分以上、1ペアなら2ヶ月分以上でした。

 

1980年以降になるとJBLの機種の幅が増えてきました。1980年には最も安価なスタジオモニター4301が発売されました。価格は1台7万5000円。1ペアで当時の大卒1ヶ月半分でした。

 

現在、JBLの現行機種でホームユースのスピーカーの最高価格はS3900で、1ペアで62万7000円です。大卒初任給は24万円ですから、2ヶ月と半月分です。為替レートの大きな変化があるので単純に安くなったとは言うことはできませんが、昔とは雲泥の差です。

 

現在、市販されているもっとも高価なスピーカーはというと,,,諸説ありますが、知名度があるメーカーに限ると、KEFが発売した「MUON」の1ペア2.000万円ということになるようです。

 

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