高忠実度再生(Hi-Fi再生)という言葉が出たのは1930年代と古いのですが、一般に広く普及したのは1951年にLPレコードが登場して、それまでのSPレコードと比較して音域が広く、雑音が少なく長時間再生ができ、その素晴らしさに感動してからでしょう。
この素晴らしいソースを忠実に再生しようとしてJBLも高忠実度(ハイフィデリティー、略してハイファイ)再生の言葉が使われ、Hi-Fiオーディオ再生の愛好家が急激に増加し、JBLは各地のオーディオ愛好家をうならせてきました。
ところが、〝高忠実度再生とは何か〟という定義を巡って論争などが出てきました。たとえば、レコード録音側で楽器に接近してマルチテイクで収録した場合、演奏会では聴けない生々しい音作りができ、これは広義の解釈の〝演奏会で聴く雰囲気をそのまま出す〟高忠実度再生と違っていますが、その音は収音後の〝マイクロホンで捕らえた電気信号をそのまま出す〟高忠実度再生とは違っていますが、その音は収音後の〝マイクロホンで捕らえた電気信号〟を忠実に再生する狭義の高忠実度再生論においてはあてはまることとなり、その音質も含めて大きく再生論が揺れ動いた時期もありました。
ところが近年、収音時の条件や信号処理技術が発達して、残響感や広がり感に加工の手が入ったり、電気楽器の信号がアコースティックで無かったり、マルチトラック録音によるミックスダウン時に音の振り分け方や楽器の音のレベル、フィルターやコンプレッサーなどのエフェクターを使用して、スタジオで収音した素材音(原音場の音)を基に、音像定位や音場感を創作して制作される「バーチャルサウンド」の世界があり、操作した部屋の音場が「原音場」となっています。
スピーカーシステムの性能を考える場合、何が高忠実度再生なのかというソフト側の議論よりも、与えられた電気信号を忠実に再生し、聴取者により制作者側の狙いや芸術性の高い作品を音的に高品位な内容で注意深く再生し、感動を与えることこそ大切な役割かもしれません。
現在はまだ、音楽のジャンルによってその違いは大きいと思いますし、レコード会社のレーベルによっても狙いが違っている場合もあり、音の定位感や奥行き感、広がり感などにいろいろと工夫がされています。したがって、JBLのスピーカーを選ぶときにはぜひ、いろいろなジャンルの音楽やレコードを聴くことが重要です。